クラウドとオンプレミスの違いとは？企業に合ったIT環境の選び方

これまで組織内で新しくサーバを導入するとなった場合、機器を自社内で保有するオンプレミス環境で多く運用されてきました。しかし、昨今では「AWS（Amazon Web Services）」や「Microsoft Azure」などをはじめとしたクラウドサービスの充実やリモートワークの普及も相まって、従来のオンプレミスからクラウドへの移行も活発になっています。

本記事では、オンプレミスとクラウドを比較し、クラウド移行した際のメリットについて解説していきます。

1.オンプレミスとクラウドとは？

まずはじめに、「オンプレミス」と「クラウド」について、改めて簡単に説明していきます。

「オンプレミス（on-premises）」とは、冒頭でも述べたようにサーバやネットワークなどの機器を自社内で保有・管理・運用する方法です。略して「オンプレ」とも呼ばれたりしています。
対して、「クラウドサービス（cloud services）」とは、AmazonやMicrosoftといったクラウドベンダーが提供しているサービスをインターネット経由でアクセスして利用する形態です。クラウドはインターネットに接続できる環境であればどこからでも利用可能なため、近年増加したリモートワークと非常に親和性が高いサービスであるといえます。

クラウドは提供されるサービスによって、「SaaS（サース/Software as a Service）」、「PaaS（パース/Platform as a Service）」、「IaaS（イアース/アイアース/Infrastructure as a Service）」などに分類されます。それぞれ、SaaSはアプリケーション、PaaSはアプリの開発プラットフォーム、IaaSは仮想サーバなどのインフラを提供しているクラウドサービスを指します。

2.クラウド移行のメリット

オンプレミスからクラウド環境へ移行するメリットとして、主に以下の4つが挙げられます。

メリット①：コストの削減

オンプレミスの場合、サーバ類などの必要な機器一式をそろえる必要があるため時間も費用もかかりますが、クラウドの場合はベンダーから必要な環境を提供してもらえれば利用が開始できるため、初期投資費用や設備の維持費用を抑えることができます。

メリット②：管理者の負担軽減

社内にIT担当者が不足しているような環境では、自社内で管理する機器が増えるほどメンテナンスに割く時間もかかり担当者の負担も増えてしまいます。クラウドサービスを使って機器を外に出すことにより、ハードウェアの保守をベンダーに任せることができます。

メリット③：スケーラビリティ

クラウド環境は、運用開始後でもサーバのCPUやメモリなどのリソースの増減が迅速に行えるため、急な負荷増加にも対応が可能です。不要になった場合はリソースを減らすこともできるため、柔軟な運用が可能です。

メリット④：DR/BCP対策

DR（ディザスタリカバリ/災害復旧）やBCP（事業継続計画）は、自然災害など予期せぬ自体が発生した場合でも業務を継続できるようにするために確認すべき重要なポイントです。
多くのクラウドサービスプロバイダーでは複数のデータセンターを活用するなどして、1か所で障害が起こったとしても継続してサービスが提供できるように備えたり、万が一の場合でもシステム復旧ができるようバックアップサービスを提供しています。

クラウド移行のデメリット

一方、多くのメリットがある反面、懸念すべきポイントもあります。

デメリット①：回線が途切れるとサービス停止

クラウドはインターネットに接続できればどこからでも利用可能という特徴がありますが、これは言い換えればインターネットに依存しているため、回線が不安定だったりすると応答速度が遅くなる可能性があり業務に影響を与えることがあります

デメリット②：「預ける」ことの不安

また、クラウドではデータが外部のデータセンターに保存されるため、金融や医療など機密性の高い情報を取り扱うような業界では、クラウドへの移行にセキュリティ的な懸念を抱くことがあります。

こういったデメリットが解消されるよう、クラウド事業者側も回線の冗長化や専用線を利用したセキュアな閉域ネットワークの導入など、通信の安定性とセキュリティ対策に力を入れています。クラウド移行を検討する際は、こうした信頼できるベンダーを選ぶことが重要だといえます。

まとめ

以上、クラウド移行のメリット、デメリットをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
新規サーバの追加や既存のオンプレミスサーバを入れ替える際などは、クラウドとオンプレミスお互いのメリットやデメリットを比較し、自社にとってどちらの形態が最善なのかを検討してから導入することをおすすめします。