Webサイト運営で知っておきたい脆弱性対策のポイントとは?
はじめに
Webサイト運営で行うセキュリティ対策には、Webサイトの脆弱性が挙げられます。Webサイトの脆弱性とは攻撃者が悪用できるセキュリティ上の問題点(弱点や欠陥)のことを指します。
そのため、脆弱性を放置すると攻撃者によって機密情報が盗まれたり、Webサイトが改ざんされるなど顧客データの漏洩やサービスの停止といった被害が発生する可能性があります。その結果、企業の信頼低下や経済的損失につながる恐れがあります。
本記事では、Webサイトの脆弱性の種類とそのリスクやサイトの運営で行う具体的な対策について解説します。
1.Webサイトの脆弱性を悪用された場合の被害例について
悪用された場合の被害は下記の項目が挙げられます。
- 情報漏えい
- 顧客の個人情報や機密データが盗まれ、不正利用や重要情報の流出が発生し、企業の信頼が失墜する。
- Webサイトの改ざん
- 正規のWebページの内容を勝手に変更され、フィッシング詐欺やマルウェア拡散の手口に利用される場合がある。
- サービスの停止(DDoS攻撃)
- 大量のアクセスを送りつけられ、Webサイトがダウンし、業務やサービスが停止する。
- 金銭的被害
- 不正アクセスにより、ECサイトでは決済情報が盗まれ、銀行口座やクレジットカード情報の悪用につながる恐れがある。
- ランサムウェア感染
- システムが暗号化され、身代金を要求される。
2.Webサイトの代表的な脆弱性の種類と想定される被害内容
webサイトにはさまざまな脆弱性が存在します。代表的な脆弱性と、それにより引き起こされる被害の内容は以下の通りです。
- 1.SQLインジェクション攻撃
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例えば、あるWebサイトのログイン入力フォームがSQLインジェクションの脆弱性を持っていた場合、攻撃者がログインフォームに特殊な入力をして、
管理者権限でログインし、データベース内の情報を盗み取る可能性があります。
またデータを改ざんしたり、データを削除されたりします。
SQLインジェクション対策には、下記の対策をとることで被害を防ぐことができます。
- プリペアドステートメントを使用する
- ユーザー入力をエスケープ処理
- データベースの権限管理
- 2.クロスサイトスクリプティング(XSS)
- ユーザが入力した値をもとに生成する動的ページなどに悪意のあるスクリプトをWebサイトに埋め込み、訪問者の情報を盗む攻撃です。
クロスサイト・スクリプティング攻撃により、発生する脅威は本物のサイト上に偽のページが表示され、ブラウザが保存しているCookieを取得されるといったことが挙げられます。
- 3.クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)
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ユーザーが知らないうちに悪意のあるリクエストを送信させられる攻撃です
想定される被害としては、銀行の不正送金やSNSの投稿改ざん、パスワードの変更やアカウントの乗っ取りなどがあります。
クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)の対策には、下記の対策をとることで被害を防ぐことができます。
- 各リクエストに一意のトークンを付与し、攻撃者が勝手にリクエストを作成できないようにするCSRFトークンの導入
- リクエストの送信元を検証し、不正なサイトからのリクエストをブロックする。
- Cookieの「SameSite」属性を「Strict」または「Lax」に設定し、他サイト経由のリクエストで認証情報が送信されないようにする。
- 4.パス名パラメータの未チェック/ディレクトリ・トラバーサル
- サーバー内の意図しないファイルにアクセスし、機密情報を取得する攻撃です。
想定される被害は、内部情報の漏えいやサーバーの設定情報の流出などがあります。
その他の脆弱性について
- セッションハイジャック
- 攻撃者がユーザーのセッションID(ログイン情報)を取得し、本人になりすまして不正にアクセスする攻撃です。
- 想定される被害例は、攻撃者がユーザのセッション情報を使って、銀行やECサイトへの不正ログインしたりします。セッションIDの定期更新&ログアウト時に無効化することが必要です。
- OS コマンド・インジェクション
- Webアプリケーションの脆弱性を利用し、Webサイトの入力フォームなどを悪用して、本来実行できないはずのOSのコマンドを実行させる攻撃です。
- 【想定される被害例】サーバやシステムの乗っ取り、データの改ざんや削除などが挙げられます。
- HTTP ヘッダ・インジェクション
- HTTPヘッダ(Webの通信情報)に不正なデータを注入し、リダイレクトやキャッシュ汚染を引き起こす攻撃です。
- 想定される被害例としてフィッシング詐欺、セッションの乗っ取りが挙げられます。具体的にはユーザーがログインすると、攻撃者の用意した偽サイトに転送され、ID・パスワードを盗まれたり、DNやプロキシサーバのキャッシュが汚染され、改ざんされたページが表示されるなどの被害があります。
- クリックジャッキング
- ユーザーに気付かれないように攻撃者が透明なボタンやフレームを使い、クリックを誘導する攻撃です。
- 画面に表示されているボタンをクリックしたつもりが、裏に隠された「送金ボタン」を押してしまい、不正送金されるなど。
- バッファオーバーフロー
- システムが想定以上のデータを受け取ることで、メモリ領域が上書きされ、不正なコードが実行される攻撃です。
- 想定される被害例は、プログラムやOSが異常終了し、正常に動作しなくなる現象が起きたり、不正なコードの実行があります。
3.脆弱性対策のポイント
サイバー攻撃や不正アクセスから利用者のデータやシステムを守ることために脆弱性対策がされたWebサイトの特徴は下記の通りです。
- HTTPS対応(SSL/TLSの導入)
- WebサイトがHTTPSで通信を暗号化していると、データの盗聴や改ざんを防ぐことが可能になる。特に個人情報や決済情報を扱うサイトでは必須です。
- 認証・アクセス
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- 強力なパスワードポリシーの導入
- 二要素認証(2FA)の採用
- 最小権限の原則(不要なユーザー権限を付与しない)
不正ログインを防ぎ、悪意のある攻撃者によるシステムの乗っ取りを防止します。
- 定期的なソフトウェア・システムの更新
- Webサイトで使用しているCMSやプラグイン、サーバーソフトウェアを常に最新の状態に保つことで、既知の脆弱性を悪用されるリスクが低減します。
- SQLインジェクションやXSS(クロスサイトスクリプティング)対策
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- プリペアドステートメントを使用したSQLクエリ
- HTMLエスケープ処理を適用し、不正なスクリプトの実行を防止
これにより、データベースの情報漏えいや、ユーザーが悪意のあるスクリプトを実行されるリスクを防ぐ。
- Web Application Firewall(WAF)の導入
- WAFを導入することで、攻撃パターンを自動で検知し、不正アクセスをブロックします。特にDDoS攻撃、XSS、SQLインジェクションなどの防御に有効です。
(アプリケーション側の適切な実装も不可欠)
- バックアップと事業継続計画(BCP)
- 万が一、攻撃を受けたり障害が発生した場合に備え、定期的なデータバックアップや、迅速に復旧できる体制(BCP対策)を整えることが重要。また、定期的な脆弱性診断の実施が、潜在的なリスクの早期発見になる
- 定期的な脆弱性診断の実施
- 専門のセキュリティ診断ツールを活用し、脆弱性を発見・修正する。
また、セキュリティポリシーの策定と社員教育も重要なポイントです。
5.Webサイト運営で知っておきたい脆弱性対策のポイントのまとめ
Webサイトの脆弱性は、サイバー攻撃による個人情報の漏洩被害などに繋がり、企業の信頼や業務に大きな影響を及ぼす可能性があります。最新のセキュリティ情報を入手しながら継続的な対策を実施することで、リスクを最小限に抑えることが可能です。
当社では、法人向けセキュリティ対策サービスを提供しています。Webサイトのセキュリティに関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。