サイバー攻撃の最新手法と防御策のポイントをわかりやすく解説
はじめに
サイバー攻撃とは、個人や企業が所有しているパソコンやサーバ、スマートフォンなどの機器をターゲットに行われる悪意のある攻撃のことです。
もしも企業がサイバー攻撃を受けてしまうと、情報漏洩や業務停止の被害にあう可能性が高いため、事前に何らかの対策を講じることが重要です。
本記事では、近年のサイバー攻撃の手法と企業が取るべき防衛策のポイントについてわかりやすく解説します。
1.主なサイバー攻撃の種類
IT技術が日々進化していくのと共にサイバー攻撃も年々巧妙化し、攻撃手法も多様化しています。ここでは代表的なサイバー攻撃を3つ紹介します。
- 1.ランサムウェア攻撃
- ランサムウェア攻撃とは、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)を使ってファイルを暗号化し、ユーザがデータにアクセスできない状態にする手法です。攻撃者はファイルの暗号化解除と引き換えに金銭を要求してきます。
従来のランサムウェア攻撃は、不特定多数の相手に対しウイルスを添付したメールを送信して感染させる「ばらまき型」が主流でした。しかし、昨今では攻撃者が特定の組織のネットワークに侵入してランサムウェアに感染させる「人手によるランサムウェア攻撃」や、暗号化前のデータを公開するといって脅す「二重の脅迫」が増加しています。
- 2.フィッシング攻撃
- フィッシング攻撃とは、実在する通販サイトなどから送られてきたメールやSMSを装って偽のWebサイト(フィッシングサイト)に誘導し、ユーザが入力した個人情報を不正に取得する手法です。特にクレジットカード番号を入力してしまった場合は、カードの不正利用につながる恐れがあります
過去のフィッシング攻撃は、メールの日本語がおかしかったりと不審な点が多く見受けられました。しかし、生成AIの普及により、日本語に不慣れな攻撃者でも簡単に自然な内容のメールが作れるようになったことから、以前よりもフィッシングメールを文面だけで見分けるのが難しくなることが懸念されます。
- 3.DDoS(ディードス)攻撃
- DDoS攻撃は、複数のコンピュータを使い、対象サーバに大量のデータを送り付けることで過剰な負荷をかける攻撃手法です。処理能力を超えるほどの負荷がかかると、サーバがダウンしてしまい、ユーザがサービスを利用できなくなってしまいます。
近年では、ルーターやネットワークカメラなどのIoT機器をターゲットにした「Mirai」や「Meris」と呼ばれるマルウェアも登場しています。これらのIoT機器がMiraiやMerisなどのマルウェアに感染してしまうと、攻撃者の意のままに遠隔から操れるようになってしまうため、乗っ取ったIoT機器を踏み台に悪用した大規模なDDoS攻撃も確認されています。
企業がサイバー攻撃に備えて取るべき対策とは
2022年のChatGPT公開以降、生成AIが一般社会に広く浸透しました。今やAIはサイバー攻撃の世界でも利用されており、実際に生成AIでマルウェアを作成した事例もあります。
AIの登場により、サイバー攻撃の手法がますます高度化・巧妙化すると考えられ、企業はこれまで以上に強固なセキュリティ対策を講じる必要があります。
ここからは、企業がサイバー攻撃に備えて取るべき対策をいくつか紹介します。
- 1.セキュリティ教育の徹底
- ランサムウェア攻撃やフィッシング攻撃などのメールを用いたサイバー攻撃は、その後の従業員の対応によって被害に遭うか否かが変わってきます。こうした攻撃からの被害を未然に防ぐためにも、従業員に対して定期的なセキュリティ教育を施し、怪しいメールやサイトを見分ける力を養っていくことが重要です。
もし従業員が不審なメールを見抜けるか不安に思う場合は、「標的型攻撃メール訓練サービス」などを利用し、実際の攻撃手法を疑似体験させるのも効果的です。これらのサービスを活用することで、従業員はより実践的な対応スキルを身につけられるため、いざ本物の攻撃を受けた際にも適切な行動がとれるようになることが期待できます。
- 2.多層防御の実装
- 多層防御とは、サイバー攻撃からシステムやデータを守るために、様々なセキュリティ対策を組み合わせることです。「入口」「内部」「出口」といった3つの領域ごとに異なる複数のセキュリティ対策を取り入れて、幾重にも防御層を構築することで、仮に一つが突破されたとしても、他の層で被害を食い止めることができます。
- 入口対策:内部への侵入を防ぐ対策
- ・ファイアウォール
・不正侵入防止システム(IPS)/不正侵入検知システム(IDS)
- ・スパムメール対策 etc.
- 内部対策:侵入後の被害拡大を防ぐ対策
- ・ログ監視
- ・ネットワーク分離 etc.
- 出口対策:外部への漏洩を防ぐ対策
- ・データ暗号化
- ・データ漏洩防止(DLP)etc.
- 3.アップデートの管理
- サイバー攻撃は、システムやソフトウェアの不具合(脆弱性)を突いてくることが多いため、組織内で使用しているシステムやソフトウェアで脆弱性が見つかった場合は、速やかに修正用の更新プログラム(パッチ)の適用をしてあげることが重要です。
定期的なアップデートの実施により、脆弱性を悪用した攻撃のリスクを減らすことができます。
警察庁のデータによると、ランサムウェアの感染経路として一番多いものがVPN機器となっているため、社内で利用している場合は特に注意するようにしましょう。
- 4.バックアップの取得
- 万が一ランサムウェア攻撃によってデータが暗号化されてしまったとしても、事前にバックアップを取得していればそこから復旧することが可能です。重要なデータは日ごろから定期的にバックアップを取得するようにしておきましょう。
しかし、バックアップ先がランサムウェアに感染する恐れもあるため、バックアップデータはオフライン上に保管するなどの対策が必要です。
まとめ
今後AI技術を駆使して新たな脅威が生まれる可能性はゼロではありません。
AIを悪用した攻撃に対抗するには、私たち防御側もAIを取り入れるのが効果的です。
例えば、AIを活用して脆弱性診断やペネトレーションテストを行うことで、人間が気が付かないようなセキュリティリスクを事前に特定でき、攻撃の被害に遭う前に対策を取ることも可能です。
このように日々進化するサイバー攻撃に備えて、企業側も常に最新の技術を導入し、盤石なセキュリティ体制が整えられるようにしましょう。